VERSE1292 [REAL or FAKE]

「これ、リアルですか?」

店頭でもたまに聞かれます。
そう、レザーとフェイクレザー問題。服を作ったり販売させて頂いたりしていると、この二つって意外と同じ土俵で比べられることが多くて。その質問の裏にはなんとなーく「本革だったらおけ、フェイクだったらちと残念・・」みたいな感覚があるような気もします。いや、その気持ちは僕もわかります。やはり経年変化には人工では再現出来ない美しさがありますし、個体によって傷があったり癖があったり、着ていくうちに艶が出たり、自分だけの形に馴染んでいったり…そういった、時間と一緒に完成していくような生命的な表情は本革にしかない。

ではフェイクレザーは、その本革を安価に置き換えるためのものなのか───────

というと、それは違う。少なくとも服を作る側からするとそこまで単純な話でもないと毎回思うんですね。軽さ、薄さ、柔らかさ、着用感、ドレープの落ち方。同じレザーの見え方を持っていても、素材としての性格はかなり違くて。本革だからこそ成立する重さや硬さがある一方、それが邪魔になる服もある。シャツのように軽く羽織りたいもの、生地をたっぷり使って落としたいもの。本革であることが逆にデザインを制限してしまう。だったら、無理に本革にする必要ははない ということです。フェイクレザーというと本物の革にどれだけ近づけられるかという話になりがちですが、作る側からするとそこだけを見ているわけではなくて。忠実に再現するためではなく、革の見え方を借りながら、革では作れない服を作るために使う。そういう素材の選び方をしています。

そもそもコットンとウールを比べて、どちらが上かなんてあまり考えないですもんね。創り出したい服によって、選ぶ素材が変わるだけ。本革とフェイクも、本来そういった関係でいいんじゃないかと思っています。本革を使った方が格好良いなら本革を使う。フェイクを使った方が格好良いならフェイクを使う。結局それだけの話す。特に今は技術も進み、リアルと遜色のない素材も増えました。エコレザーという少々響きのよい言葉も出てきて、昔よりもひとつの素材としてカテゴライズされるようになった気がします。フェイクレザーと名を打つブランドもかなり減りましたよね気付けば。僕のブログではわかりやすくフェイクと言ってきましたが、そろそろ改めた方がよさそうですね。FAUXやSYNTHETICあたり。今週発売するものは、”この服だったからこの素材になった” それが正しい。

明日はそんなお話。