VERSE1222 [誰のための服か -SPIRAL STRUCTURE PTの発表-]

先日のブログで書いたように、新しいステージである「PHASE Ⅳ」においてはビジネス的な側面はある程度度外視をしています。いわゆるデザイナーではなくアーティストとしての姿勢。数字などの不純物を削ぎ落として純度100で創り上げた作品は、自ずとASKYYの中では常軌を逸した数字になりました。

「9万円のパンツ、限定7本」


価格帯的にも万人受けの服ではありませんが、共鳴いただける方が世界に7人だけはいるはず と思っています。もちろんこの作品においてはですので、これからの全てがそうではありません。

いちブランドではなく、プライベートセラーとしてのASKYY。
その7本に込めた思いを、少し聞いてください。

「SPIRAL STRUCTURE PT」

Model:V4
Code:3/7
Season:412
Color:BLK
Material:COTTON91%,ELASTANE6%,POLYURETHANE3%
Size:1,2,3
Made in Japan

◾️不完全な均衡
この作品の核。
パンツというキャンパス内を自由に走り回る裁ち切りの縫い目。
その1本1本のシームを最も美しい配置へと追い込みました。

ただ螺旋を描いただけではありません。
フロント、膝周り、裾。どこを切り取っても均衡が保たれるようにあらゆる箇所において角度と位置を計算し、何度も組み立てていきました。

面積の広いフロントは自由な躍動感。
負荷のかかる膝部分はバイカーパンツのような機能的振る舞い。

そして裾や背面などの細かい部分は繊細なアクセント程度に抑制。

設計におけるパーツ数は今までの数倍に及びます。ソレに伴って、修正作業も比例して膨大な時間がかかりました。

一番ASKYYとして重要視していたのは「悪目立ちさせない」ということ。
主張しすぎるとそれはパンキッシュでロックに傾倒してしまいます。あくまでもモードの立ち位置は崩さない。それでいて日常に落とし込むことができるという最も難関な部分の解決こそが自分の役割であり、培ってきたものを発揮すべき箇所なはず。その本質は例えこういった作品であっても、決して譲れませんから死守をするわけです。

拘束されている感覚はそこになく、人体にまとわりついて一体化されているようなクリエイション。ASKYYの6代続くY DENIMの枠に収めなかった全ての理由はここにあり。完全に独立した殿堂入りと自負しています。


不均等で無骨な裁ち切りのラインが複数あることで光の当たり具合、見る角度によって表情を変化させる。立体的な造形によって、シワのつき方にも独特な表情が宿る。

「安定」を捨てたことでASKYYの新しい、歪な美しさの世界が開いたと思っています。

過去作で取り組んだSPIRAL SEAM KNITは伏線でしたね。
今も大事に着ていただいている方も多く嬉しいです。

◾️規律
不均衡なスパイラルに対して、規律を守った箇所。
それはフロントジップの作り。

今までにない試みはここでも確認いただけます。
従来のY DENIMはジップを隠しミニマルに仕上げたり、ボタンを配したりでしたが、今作は「動」である螺旋に対して、垂直に「静」を表現。ちょうど真ん中に位置するジップ。このバランスがあることで今までの規律を守り、それでいてストイックな表情になっています。

◾️継承と人格
すべてを塗り替えるのではなく、積み上げてきた伝統もこの螺旋の中に継承。
左ポケットに配したのは、従来のアーカイブで表現していたボタン&ストラップのギミック。歩みに合わせて「垂れる」という動的な要素を加えることで、無機質な構造体に呼吸をする生命感をもたらしました。

継承は裾の設計にも表れています。
膝から裾にかけて脚を締め上げるようなキュッとしたテーパードを施している分、その対価として裾のサイドジップは極めて長く設定しました。これは単なる着脱の利便性を超え、肌へと馴染ませるための余白として機能します。

このジップの開閉こそが、一着の中に相反する2つの人格を宿す所以。
ジップを完全に閉じればストイックなスキニーシルエットが強調され、一方、大胆に開放すれば空気を孕むエレガントな弱フレアへとその姿を変貌させる。

ブーツインか、アウトか。 その選択もこの一つで全く異なる表情を見せます。相反する2つの人格を、その日の意思で使い分ける。その自由度こそが、ASKYYが守り続けてきた様式美。

◾️骨格
螺旋の難解な設計図を具現化するために、すでに心に決めていた素材は「カツラギデニム」でした。


この緻密な作り込みを日常へと繋ぎ止める役割が素材の選定。見た目のストイックさに反して、十分なストレッチ性があることで「しっかり細いけど、しっかり動ける」を両立。

それはこの細身のシルエットを実現させる上でも必要不可欠な要素。エラスタンとポリウレタンを混紡しながら、表面の質感はASKYYのアイデンティティであるマットな黒。既存のどのアーカイブとも共鳴する高い親和性を持っています。

また、ウエストの背面のみをギャザー仕様に。フロントのミニマルでスッキリとした表情を維持したまま、腰回りのフィット感を向上させました。


腿周りには適度なゆとりを確保し、そこから膝、裾へと向かって絞り込まれていく緩急ある設計。

フロントから垂れるフェイクスエードのドローコードも重要なアクセント。 通常の倍の長さに設定することで、アルチザンな構造の中に、程よいルーズさと抜けを加えています。

吉田(178/62)でSIZE2着用。
身長に対して足はめちゃ細いのでSIZE2でもいけます。ウエストも背面がゴムなのでギリいける感じ。今回はご紹介用にSIZE2を着用してますが、個人的にはSIZE3で履きたい感じです。

詳しい採寸は後半をご確認ください。

◾️AラインとIラインの親和性
今回このパンツに合わせて着用していたトップス。
やはりスキニーには「程よく余裕のあるロング丈」が個人的にマスト。なるべくざっくりめ。

今回合わせているアイテム。

・N3 / BLK

・N31 / DYE [BLACK OUT PROJECT]

N3、N31の2型は特に当作と一緒に着たいモデル。
無地の黒に加えて、先日ご紹介したBLACK OUT シリーズとしても制作済みです。詳細は下記をご確認ください。

・N3 / REGULAR
細身でスマートなレギュラーサイズ。 アシンメトリーなデザインがスプリングコート特有の軽快さと相まって、風をはらみ軽やかに揺れ動く。柔らかな質感のトップに対してハードな質感のパンツを合わせることでそのバランスは唯一無二へ。

・N3 / OVER
上記同型。抜け感のあるオーバーサイズタイプ。

・N31
フロントの裏に配した黒、リボンの黒との対比が象徴的な一着。
肩から袖にかけてのパッカリングも染めの風合いが強調される。スパイラルパンツの世界線と相性が絶大。


これらの一点モノも、今回のパンツの合わせて発売します。
ECカテゴリの「THE PICKED ARRIVALS」、「BLACK OUT PROJECT」にて。

◾️証明
今回のパンツにおいては7点のみの制作。
その証明として「1/7」といったシリアルナンバーを手書きにて記します。ボロボロになるまで履き潰してほしいです。やがて裁ち切りの糸が吹き出し、微かなアタリが浮き出てきた時、この作品は完成されます。

◾️価格
先日のブログや冒頭で触れた通り、今作はビジネスとしての正解を捨て純度100%で創り上げたコレクションピース。没頭するあまり、かけた時間は想定を遥かに超えてしまいました。工賃を含めたコスト面でも、量産品として成立するようなものではありません。仮に7本すべてが手元を離れたとしても、通常の製品作りとは比較にならないほど採算度外視の領域。

それでも、記憶と記録に残る作品を創り上げること自体に今は意味があると思ってます。

¥90,000(税抜)

「服」としてではなく一つの「作品」としての対価。
共鳴していただける方に届くことを願ってます。それでは明日。

INFORMATION

[発売開始]
3/28(土)
・直営店:12:00
・EC:19:00
※店舗とECで発売開始時間が異なりますのでご注意ください。
※今回販売期間の設定はございません。

[お取り置き]
店舗へ直接お越しいただけるお客様に限り、事前のお取り置きを承ります。
ご希望の方は明日土曜11時までにお問い合わせください。

[採寸]
SIZE 1
ウエスト 76cm
わたり 29.5cm
股上 31cm(マチ除く)
股下 69cm
裾幅 14cm

SIZE 2
ウエスト 80cm
わたり 30.5cm
股上 31cm(マチ除く)
股下 70cm
裾幅 14.5cm

SIZE 3
ウエスト 84cm
わたり 32cm
股上 31.5cm(マチ除く)
股下 72cm
裾幅 15cm