2026年2月16日19:00。
先ほどASKYYのECサイトを「解体」しました。
そしてきたる2026年3月1日、ASKYYはいよいよ9周年を迎えます。いよいよ10年目ですね。
今日は長文です。今日だけは一言一句ご一読いただきたいです。
振り返れば、9年という歳月は僕に多くの教えを授けてくれました。
1つのブランドとして歩み、これまでに綴ってきた順風満帆とも思われるストーリーは、今の自分を形作る不可欠な要素であることに変わりはありません。それは、惑星を安定させていた美しい重力のように僕の軌道を正しく守り続けてくれました。

しかし、本当にこのままでいいのか───────。
喉元まで出かかっていたその違和感を、これまでは誰にも言わず飲み込んできました。
9周年を目前にした今、僕はもう一度、孤独ともいえる静寂の中へ旅立つことを選びました。
ECサイトとしての利便性。あるいは、会社としての合理性。そして、安定してしまったさまざまなこと。 それらがいつの間にか僕の視界を僅かに、しかし確実に硬直化させていたのかもしれないと感じたからです。お客様もその「安定」をどこかで感じていたのではないでしょうか。
不自由が無いありきたりな日常も、もう要らない。
誰にでも受け入れられる正解は、もう要らない。
当たり前も、もう要らない。
自身の感性のみが創り出せる、世界に1つだけの創造。そして自分だけにしか見えない景色の解像度。それをもう一度信じ抜きたい。 たとえその先に、世に言う「失敗」という結末が待っていたとしても僕はそれを1mmも恐れません。むしろそれを望む生き方をしてきました。いつかのブログやインタビューでも失敗の先にしか成功はないと発してきました。
今の引力に従えば安泰であることを知りながら、僕は自らその軌道を外し、

どこまでも自由でどこまでも不確実な宇宙の彼方へと自身を放り投げる。
ここから、ASKYYは「PHASE Ⅳ」に入ります。
それは、表現の「純度」を極限まで引き上げるための避けては通れない必然であり、「ASKYYという物語」があるべき姿へ戻るための決断です。フェーズ1,2,3と進め、次は4章。ここから先のASKYYは、もしかしたら「不親切」に映るかもしれません。数字を追うための利便性を捨てさり、自身のクリエイションの深度を重きとするのですから。情報のカタログであることをやめ、僕の脳内に漂う断片を拾い集めるようなギャラリーへとその在り方を変えます。それに伴い、服との接点もそのすべてを再定義します。
週に1度、決まった時間に商品を並べる1W1Rのルーティン…
1点1点を独立させて見せるこれまでの販売形式…
lookの公開など…
そういった「ASKYYが自ら築いた常識」からも距離を置こうと思います。たとえば、著名な誰々に着用頂いたからという理由でもう一度それを作る ということもなくなるかもしれません。それは誰にも、僕自身にもわかりません。ただ、これからは僕の執着とこの先の記憶のためにだけ、心臓を動かします。その時の感情やその時のクリエイションの方向性に合致した時にのみそれは再現されるでしょう。
ある時は、2つの個性が重なり合うことで完成する「対」の提案。またある時は、店頭と画面越しで流れる時間の速度を変えて。隔週、あるいは不定期。その時、その服が最も美しく届けられる状態を確かめながら独断で決めていきます。 クリックひとつで完結してしまう消費の速さに抗い、1枚の画像、あるいは1節の言葉を読み解くために費やす時間の中にこそ真の美しさが宿ると確信しているからです。
これまで業界の慣例やシステムは無視して、ゼロイチで生み出し、走ってきました。しかし、いつしか”それこそ”が「ASKYYの慣例」に成ってしまっていた───────。それは、いつの間にか自分を映し出すためだけに使っていた鏡が、自分を閉じ込めるものに変わってしまったように。追われるように毎週の定時に無理やり間に合わせることで純度が薄く成っていたならば本末転倒です。だからこそ、その慣例を自ら粉々に破壊して全く新しいモノやコトをいちから創りたいのです。
僕の視界は今、冬の青空のようにかつてないほど澄み渡っています。 内臓から鳴り響く初期衝動が、開業当初よりもずっと鮮明に、強い鼓動で心拍数を高めています。9年間のすべてを結集し、 もう一度自分の手の届く範囲で、自分の目の届く極限まで磨き上げたい。
これからAI、あるいはAGIがすべてを支配する時代が確定しています。ボタンひとつで緻密なミシンが走り、計算され尽くした服が数分で吐き出される。むしろ縫製さえも不必要な服が台頭するかもしれません。アルゴリズムが個人の好みを先回りし、お客様が着たいと願うデザインはその日のうちに手に入るようになるでしょう。そこには迷いも葛藤も、そして人間も介在しません。しかし、どれだけ技術が進化しようとAIに決して成し得ないことが一つだけあります。
それは、服を着て、生きて、その服を汚していくという、生身でアナログな行為そのものです。
僕が今後手書きのシリアルで痕跡を付けるのは、その服を自分の未来永劫の作品として完成させるためではありません。10年後、20年後。お客様が着倒したその1着が、唯一無二のヴィンテージとして輝くための骨格を仕込むからです。この時代に僕が何を想い、どう足掻いたか。その証明は、最終的にお客様の人生が刻むシワや擦れと混ざり合い、初めてホンモノへと昇華されます。AIが描く無味で完璧な設計図に、人生という物語を書き込むことはできません。 だからこそ、もはや作り手の名前などどうでもいいのです。
「誰が作ったかは関係ない。誰が着るかだ。」
創業時から掲げているASKYYの核は、AIが台頭する現代と未来において最強の伏線となりました。
2月28日。
新しく生まれ変わるその時間、その場所で、今のASKYYを100%の純度でドロップします。
ここにあるのは単なる物質としての衣類ではありません。
吉田という人間が、今この瞬間にしか吐き出せない、AIに務まるはずがない生きた物語。

「PHASE Ⅳ」の幕開け。
その重い扉を叩く準備をして待っていてください。

2026.02.28-