本年の営業も本日で終了いたしました。今年もたくさんのご来店とご購入ありがとうございました。
数年前と比べ向上していく物価、上がらない賃金。そういったニュースばかりが特に目立った2024の情勢の中、今年の年末もこのブログを穏やかな気持ちで書き綴る事ができている日常に、改めて感謝申し上げます。
穏やか とは書きましたが無論弊社もその煽りを直に受け、その1つを例としてあげるならば数年前の価格での販売が困難となったことが挙げられます。「相場感」っていうものがあると思うのですが、どうしてもその指標に近づくことができない。それらはダイレクトに売上にも影響を及ぼしました。これを「情勢のせい」として片付けてしまえば楽なのでしょう。しかしながら結局どう抗ってもASKYYは僕の分身でしかなくて。イコール、自分自身が世に受け入れられていない、間違っている と酷く悲嘆してしまうのが常なのです。向き合う敵は外ではなく自身として、その事実から真っ向に挑み、逃げず、孤独に向き合ってきました。これはメンヘラではなく経営者として。
その代償は自身が思っているよりも大きく、様々な副作用を伴います。余裕がなくなり焦燥感に駆られる。少しでも歩みを止めれば背後から来ている悪魔のような不安に飲み込まれる。その忍び寄る影に怯え、眠れなくなる日もいまだにあります。いや、大半がそうですね。人生をかけてきた分、これしかない分、その影の圧や暗さの濃度は計り知れないものを感じます。ただ、それでも無心に進むしかありません。何事もなかったかのように振る舞う。その圧を押し除けるよう幾多の試みを繰り返しては前に進んでいく。
その勇気に火を灯し、伴走し、時にハシゴを支えてくれていたのは紛れも無く、普段よりご愛顧を頂いておりますお客様のおかげと改めて思います。冒頭の「穏やかに」と書かせていただいたのもそういったお客様方の目に見えない感触を感じ取れているからなのだと思います。そのおかげで今なお代官山のこの地で平和に営業させていただいているのですから。
2023はパリへの出展やアーカイブコレクションの発表など大きな動きもありましたが、2024は宣言通り、根を下ろしました。下手に拡大をし純度が薄くなるならば手の届く範囲にのみ絞る、という本来思い描いたブランド像を取り戻すことに念頭をおいたのです。ブランドではお約束の卸販売という形式も今ではかなり薄くなりました。初めて開催した「お客様向け」の受注会などはその片鱗の1つであり、今後も継続していくつもりです。
2024はパリやブランドの改革など目立った動きや大きな変化はございませんでしたので、例年に比べればつまらない、おとなしい1年だったと感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかしながら、今までのどの1年よりも僕自身が変わった年であり、むしろ最も影響を及ぼした年と言っても過言ではありません。それはものづくりに対する考え方もそうですし、ブランドの在り方などあらゆる面で。向き合った時間は例年の数倍に及ぶでしょう。それは当然精神的な部分への負荷も強く消耗しましたがクリエイトする立場の人間としては当然の試練として人知れず抗っていました。海外への挑戦で見えなくなっていたことも、この潜んだような1年で多くの事柄に気付き、進むべき方向が見えた1年でした。
そうして迎える2025年───────。
25SSについてのブログで綴らせていただいているように、ASKYYはまた本質的なものへ戻り、今までのものづくりの姿勢を改心します。ASKYYには核となる芯があるというのはこのブログをお読み頂いているお客様なら幾度も見ていただいていると思います。しかし、この1年でその大きな間違いにようやく気づきました。
「核があるのはASKYYではなく、お客様方にASKYYの核がある」ということを。
何が言いたいかというと、ASKYYはそもそもお客様がいらっしゃって初めて成立したし、しています。それはASKYYに一貫した核があったからと置き換えることもできますが、作り手側からすれば、今の核は確実にお客様側にあるのです。というのも、いつしかASKYYの核はココだけにとどまらず、自分だけのものではなく、皆様との共通意識の集合体として成しているように感じるのです。つまりそれはお客様も核の1つであることを意味していて。
例えばASKYYといえば?と聞かれて思い浮かぶのはどのようなイメージでしょう。ぼんやり視えているその世界観、脳内にあるイメージこそがその核そのものだと思うんですね。おそらく皆様の答えのすり合わせをした場合もほとんどが一致している気がします。これ、ちょっとスピってるように思われても仕方ないのですが、その共通認識が在るって本当に貴重なことだと思います。目に見えないものだからこそ、その価値を図ることは不可能なわけですがこれこそが7年で創り上げた代え難い財産。ビジネスで言うとこの「バリュー」でしょうか。当然数字には現れませんが。
話は大きく逸れてしまいましたが、そう理解した上で制作する作品は今までのものと大きく変わります。その中心に自分が入り込んで、形へ具現化するということ。「線」の一方通行だったものが「球」となり、中心から放射状にフレアするイメージ。懐に入るからといって売れ筋ばかりを作る、量産品のように普通なデザインの使いやすものを作る といった浅はかなものではありません。当初から一貫した核に変化があるわけではありませんから、表層的には同じかも知れませんが、確かに何かが違うはずです。それは25SSのメインコレクションの方にて大きく反映されています。
今までの核の捉え方、考え方の誤りを反省し、償う。
そんな25SSのシーズンテーマは「AMEND FOR」、日本語でいうなら、償い。
来年もASKYYをどうぞ宜しくお願い致します。
2024.12.29
代表 吉田