Hook 15 [VERSE1000]

書き綴って1000回目。7年間に及ぶASKYYの記録。
改めて、本日無事1000話目を迎えることが出来ました。日頃より当ブログをご愛読頂いているお客様方には本当に感謝です。今までお読み頂きありがとうございました。今日はそういった折り目でもあるので久しぶりにこのブログ、いや、ブログというものを介した上での自身についてまで言語化してみようと思います。商品説明等ではなく個人としての吐き出し物なのでお時間ある方にお読み頂ければ幸いす。

在るべき姿

書き続けた1000話の物語。毎回強火な商品説明なだけにさぞ大変で面倒な作業なんだろうと思われているお客様もいらっしゃるかもしれません。しかし僕の中では言葉・文章を嗜めるという行為自体が昔からのルーティンワークであり、仕事では服を創ること以上に重要なものと捉えています。ですから枷と感じることはありません。むしろ産み出した重みだけそれを丁寧にご説明する責務を背負うものと思っています。今だからはっきり言いますが、多くを語らずも受け手に何か感じてほしいというようなデザイナーっているじゃないですか?創るだけ作って綺麗なヴィジュアルで仕上げてそれで終わりみたいな。あとは沈黙している事がデザイナーとしてはかっこいい みたいな。

あれ僕 嫌いなんです。

というのもそれって「アート」に類似した概念でないですか?「アート」はあくまでも自己表現としてのツールであり、第三者が評価する、もしくは自己表現の範疇として存在するものです。優れたアーティストは自身をも追い込み突き詰める。それはそれで素晴らしいですよね。一方で世にいうデザイナーってなんでしょう。「デザイン」は社会性を伴った上で営利も発生しその向こう側に必ずお客様(消費者)がいる。つまるところアートとデザインは常に対局にあり全くの別の生物であって、もしデザイナーと名乗るのであればその線引きの理解を深めていなくてはいけないし、その意図をお伝えすることも立派な責務だと思うのです。優良なデザインであればそういったものは不要だ という人も中にはいるかもしれません。しかしデザインがいくら優良であったとしても、血の通っていないような、熱量を感じないような創作物なんて少なくとも僕は欲しいと思いません。プロダクトでなく着用するという衣類なら尚更で。特にAIなどが主流になっていくこの時代においてそのような物作りの本質こそ忘れてはいけない価値と考えています。無論賛否はあると思いますが僕は独りよがりのようなアートをやっているわけでなく、その向こう側にお客様がいる限り良質なデザインを目指すのは当然として、「詳しくご提案すること」までが仕事だと使命を感じるのです。さらにうちの場合は最終プロセスである接客や販売までやらせて頂いています。0から創って100まで見届けるという事が一貫してきたこだわりなのです。

回りくどくなってしまいましたが、つまりこのブログの立ち位置は単なる商品説明ではなくデザインという行為が内包している立派な仕事の1つであるということです。ブロガー的視点で見ればPV向上や読者数向上の為の施策などありませんし、ブランディングやマーケティングのようなまやかしもなく、あくまでも純度高く本来の自分を表現できる場所でありお客様へお伝えする場所として大事にしてきました。それがこのブログに対する思いであり姿勢です。何より自分自身が話す言葉よりも文章として綴る方がさらけ出せるという部分があるかもしれませんね。例えば言いにくいことや伝えることが難しい場合でも文章ならばニュアンスでお伝えできる。デザインについて語る場合もその一言一句で印象が変わりますから適当に書いているような文章も実は幾度も修正しその一文字にこだわってきました。話はそれましたが、僕にとってこのブログは分身でもあり、本当に重要なツールです。それが、ちょうど 1000回目となったわけで。一つの達成感でもあり、律する機会となりました。改めて、今後もこのブログをご愛読頂ければ幸いです。

さて、ここからは1001回目ですね、
こういったパーソナルな事を語る機会も少なくなっていたので今後のASKYYの未来のお話でもさせて頂こうかなと───────。


3度のPARIS COLLECTIONを経て

ASKYYは過去3回パリに自費出展してきました。ブランド設立2,3年で後ろ盾なく挑戦出来た事は今も自信に繋がっていますし大手や有名ブランドがコロナで怯む中、単身でパリに渡り果敢に3度目の挑戦を出来たことは今も誇りです。ただ、パリの「事後」のことをブログで明言する事は避けてきました。1000回目にしてこれが初めてになりますかね…きっと僕の中でもようやくソレが消化出来るようになってきて、時間をかけ受け入れる事ができる様になったのでしょう。1000回目なのでこの際はっきりさせておくと

3度の挑戦は、結果が伴いませんでした。


海外のセレクトショップからの多くの買い付けがあって成立する海外卸。「出展」は出来てもそのさらに上の段階である「展開」ができていなかったのです。これは例えば何らかのお店を出したいって人が、店を出すまでは出来たけどそれで満足しちゃってその後の継続や発展が出来なかったソレのパターンに似ているように思います。そう、始めるのは簡単ですが継続や成長は天と地の差ほどレベルが違う。ASKYYもブランドを作ったで満足せずおかげさまで8年目となっているわけですが、常に発展を目指してきました。「展開」の壁は想像よりも遥かに高い壁があり、高額な出展費と渡航費、営業、バイヤーの招致、英語でのプロダクト説明、そもそもの認知のほか、細かいところでいえば価格設定、オーダーミニマム、為替、輸入輸出の条件など、本当に多くの障壁がございます。作品そのものやブランディングが仮に高水準だったとしてもそれだけでは当然ダメで。出展して2,3回目で認知してもらえれば上等、4,5回目でようやくオーダーが入り出すという厳しい世界線。最後のパリ出展の時なんてコロナ全盛期でそもそもバイヤー自体がパリに来てなかったという結果でした。

でもですね、僕は当然出展して満足して終わり だなんて1mmも考えたことがございません。「世界に日本のASKYYを展開し、お客様の誇りになりたい」と一歩ずつ歩んできました。さきほどあげた様な障壁って本当に言い訳でしかなくて。逃げの口実でしか有りませんよね。全ては自分の至らなさからくる結果。だからこそここで言えませんでした。応援してくれて結果的にパリへ導いてくれたお客様方に面目がなくて。誇りに慣れてなくて。新たなコレクションを作り続け、ブログも1000回に到達。この辺で自身を戒める為にも誓わなくてはいけません。

“次は出展で終わらず、展開までいく” と。

いつかのブログで「失敗と成功は分岐するものでなく、失敗を繰り返した先に初めて成功というものがある」すなわち失敗は当然であり失敗しない限り成功はないと書きました。まさに僕の人生はそれを体現していて。だから確実に近づいていることは確かなんです。出展で膨らんだ赤も大きいのですが、一方でそれによって得ることが出来た感触や僅かな可能性を発見出来たことはASKYYだけがもつ財産です。海外のお客様がわざわざ直営店まで買いにいらして頂けることはそれをさらに確信へと変えます。

準備が整った段階で再度パリに挑戦し、結果を残す事ができる様に今後も努めてまいります。わずか2,3年で初出展した時のような新生故のスピード感も良いのですが、今はそうでなく、この7年間で見てきた視野をもちながらじっくり着実な点を作り続けこの先の線に繋げていくイメージ。したがって「結果」を伴う時期が1年後か3年後か10年後になるかは不明確です。しかし諦めずに挑戦し続けますので今後も変わらぬご愛顧をいただけると嬉しいです。当然パリにこだわらずとも、最終はお客様にとっての”誇り”になることが本望。浮き足立てず、地面に深く根を降ろし、時代が変わろうとも動じない樹齢100年を越す木のように威信ある存在。

このブログはその過程の記録。

今はたかだか1000ページ目。

ASKYYの物語は続きます。

著者近影 2024.7月吉日

Hook 15 [VERSE1000]” への1件のフィードバック

コメントは停止中です。